top of page
執筆者の写真ブレイブハートNAGOYA

0023 人が生きるしくみと死ぬしくみの基礎(セミナー『生命危機を見逃さない傷病者対応』事前学習サポート記事02)

私たちは、突然生命の危機に陥った人を救うべく、救命処置を習います。

心臓の機能が失われれば、人間は死んでしまう。

では心臓の機能の停止(心停止)を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか?

人が死んでしまうことを防ぎたいのであれば、死に至るまでのメカニズムを理解し、その要所要所で効果的な処置を行うことが必要です。


 

人が生きるためには何が必要?



人が生きるためには、これらを外部から取り入れる必要があります。

栄養や水分はある程度の時間摂取しなくても大丈夫ですが、酸素を取り入れなくても大丈夫な時間は実に短いもの。息を止められる時間が1~2分程度しかないことから考えても、それがわかります。



【人が生きるためにはとにかく酸素が必要!】



これを踏まえ、生命維持の基本的しくみを考えてみましょう。


人の心身を司る脳は、常に大量の酸素を必要としています。

体で消費する酸素の3割近くは脳で消費されており、さらに酸素をストックしておくことができないため、酸素供給が止まると十数秒で意識を失い、さらに3~4分程度経過すれば脳細胞はダメージを受け始め、一度ダメージを受けた脳細胞が元に戻ることはありません。


では、脳に必要な酸素はどこからやってくるのでしょうか?

酸素は鼻や口から吸いこまれ体に入りますが、喉の部分では空気の通り道(気道)が一本になっているため、ここが詰まると酸素を取り入れることができず、すぐさま生命危機に陥ります。

気道を通り肺に至った酸素は、肺の機能で血液中に取り込まれますが、肺炎などでこの機能に不調をきたせば体は酸素不足に陥り、やがて生命危機に陥ります。

また、気道や呼吸機能に異常が無くとも、循環(血の巡り)に何らかの原因で異常をきたせば、やはり体は酸素不足に陥り、生命危機に至ります。

このように、体は常に酸素を必要とするも、何らかの原因で酸素供給が滞ることがある。

その異常を見逃さず、必要な介入を行うことが、傷病者を救うことに繋がります。


 

生命維持の三要素



脳(神経系)、心臓(循環器系)、肺(呼吸器系)のうごきは密接に関係しており、どこかに異常をきたせば他の器官にも影響が及びます。

以下は、この三器官のいずれかに異常をきたしたことにより、やがて心停止に至る過程を記載したものです。



(1)心臓に原因があり心停止に至る場合の例

心臓がけいれんしてポンプ機能が損なわれる「心室細動」などが発生

↓↓↓

血流が突然停止し、脳への酸素供給も止まる

↓↓↓

脳からの指令によって動いている呼吸機能もやがて停止する



(2)呼吸機能に原因があり心停止に至る場合の例

窒息や溺水により酸素の取り入れが止まる

↓↓↓

血中の酸素が消費され、やがて脳が機能できなくなり、意識を失う

↓↓↓

脳からの指令がなくなるので呼吸機能も停止する

↓↓↓

血中の酸素が消費され、心臓が動くのに必要な酸素もなくなり、心臓の動きが次第に遅くなる

↓↓↓

心停止となる



(3)脳の機能に異常をきたすことで心停止に至る場合の例

薬物等の過剰摂取や、頭に強い衝撃を受けるなどにより、脳の機能に異常をきたす

↓↓↓

脳からの指令がなくなるので呼吸機能が停止する

↓↓↓

血中の酸素が消費され、心臓が動くのに必要な酸素もなくなり、心臓の動きが次第に遅くなる

↓↓↓

心停止となる

この他にも心停止に至る過程は様々なものがありますが、すべてのケースで「酸素」がポイントになってくることがわかります。


 

酸素の流れに沿って傷病者をみる


人間の生命機能の維持には酸素が欠かせないのですから、酸素の流れに沿ってどこに異常がないかをみていくのが効率的です。


やみくもに何か異常がないか探したり、目に見える外傷などにとらわれたりすることは、優先度が高い事象=生命危機を見逃すことに繋がります。

次回は、酸素の流れに沿って傷病者を評価する『体系的アプローチ』の基礎に触れていきます。

このような傷病者に遭遇した場合、何をどのように観察していけばよいでしょうか???




閲覧数:316回0件のコメント

Comments


bottom of page