AHA BLSインストラクターとして活動する
直接このページにたどり着いた方は、先に AHA公認インストラクターを目指すにあたり をしっかりとお読みください。
AHAのBLSインストラクターは、AHAのECC:Emergency Cardiovascular Care(救急心血管治療)教育プログラムのうち、次のコースの指導ができる資格です。
プロ向けBLSトレーニングであるBLS Provider Courseのほか、業務として傷病者対応を行う非医療職向けのHeartsaver®シリーズの指導もできるのが特徴です。
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BLS Provider
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Heartsaver® CPR AED
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Heartsaver® First Aid
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Heartsaver® First Aid CPR AED
公式に日本語化された教材が存在する上記コースのほか、Heartsaver® Pediatric First Aid や Heartsaver®Bloodborne Pathogens など日本語化されていないHeartsaver®コースも権限上は指導可能となります。
AHAの「BLSインストラクター」として活動するためのプロセス
❚ AHA-BLSインストラクターの要件
アメリカ心臓協会AHAのECC教育プログラムは世界中で展開されており、その全体の運営マニュアルであるPAM:Program Administration Manual および各プログラムのインストラクターマニュアルには、インストラクターに関する統一の要件が定められています。
●前提条件
インストラクターは人の命を左右する責任あるトレーニングを提供する立場であるほか、心疾患と戦う学術団体であるAHAの理念に基づき活動する立場であるため、次の要件が定められています。
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18歳以上であること
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非喫煙者であること
●インストラクターとしてのコア能力
PAMではインストラクター候補者が持たなければならないコア能力として、次の5点を掲げています。
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スキル:インストラクターは,指導する分野のあらゆるスキルに習熟している必要がある。
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コースの進行:インストラクターは,AHA 教材を正しく,意図されたとおりに指導する必要がある。
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テスト:インストラクターは受講者を適切に評価出来なければならない。
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プロフェッショナリズム:インストラクターは,AHA コースを指導する際に,高い水準の倫理とプロフェッショナリズムを維持しなければならない。
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プログラム運営:インストラクターには,時間,スペース,教材,必要書類を,AHA のガイドラインに沿って管理する能力が必要である。
●プロバイダーカードの保有
BLSインストラクターとなるためには、有効期限内のAHA-BLSプロバイダーカードを保有していることが必要です。これはブレイブハートNAGOYAで受講・発行されたカードであることに限らず、AHAのBLSプロバイダーカードであればどこで発行されたものでも有効です。
❚ 活動の方向性とその他要件、意欲など
●ITCとの提携
AHAインストラクターは、コースの修了カード(資格証)の発行等を行う権限を有し事務を担うAHA国際トレーニングセンター(International Training Center:ITC)と提携する必要があります。
現在日本には10のITCが存在しており、ブレイブハートNAGOYAのサポートでAHAインストラクターとなる方は、日本医療教授システム学会AHA国際トレーニングセンター(JSISH-ITC)と提携することとなります。
JSISH-ITCは、AHAの意思を日本国内で体現していくことを活動ポリシーとしています。
そのため、JSISH-ITCと提携するAHAインストラクターには、運営マニュアルPAMの内容に精通し、その精神をもって行動することが求められます。
また、AHAが指針として打ち立てている教授システム学(インストラクショナルデザイン/成人学習理論)の知見を活用した教育プログラム展開を行うべくスキル向上を図る熱意があることを要件とします。
国内のITCの中にはその組織理念上、BLSインストラクターになる者に対し、医師、看護師、救急救命士等の医療国家資格を求める組織もありますが、JSISH-ITCは各種要件に合致する方であれば、非医療職であってもBLSインストラクターとなる道を開いています。
●英語(特に文書の読解)を嫌わない
AHAは米国に本拠を置く組織であり、情報の配信はまず英語でなされます。
各種通知、新たなガイドライン、教材などの最新版はすべて英語であり、そこから日本語化される文書もあるものの、まずはおおまかでもよいので英語の文書を読み進める意欲が肝心です。
●2年に4回以上の指導
インストラクター資格の有効期間は2年間であり、更新のためには審査も必要です。
スキルの審査のほか指導従事歴も問われ、2年間の間に4回以上の指導歴が求められます。
とりあえず資格だけ取っておこう…では、更新の際に要件を満たすことはできません。
●他の営利活動にAHAインストラクターの立場を利用しない
AHAインストラクターとしてのステイタスを他の営利活動に利用することはできません。
例えば、AEDの販売事業者の従業員がAHAインストラクター資格を取得し、「当社のAEDはアメリカ心臓協会AHAのBLSインストラクターが販売します」「AED購入者にはAHAインストラクター資格者が講習会を提供します」といった取り組みを行うことはできません。
●地域社会の救命率向上に寄与する(一般市民向けボランティア指導の実施)
AHAインストラクターは、救急蘇生分野に関する高いスキルを有する者です。
社会の救命率向上を図るべく、そのスキルを特定の職域や属性の者に対してだけではなく、各地域で救命の連鎖を強化するために用いることも求められており、そのため、インストラクター資格更新時には、2年間に1回以上のボランティアによる一般市民向け救命法指導歴も必要となります。
例えば、自身の居住地域の自治会と連携して住民に対する無料の救命講習を開催することや、イベント会場で心肺蘇生体験ブースを開設して一般市民に対するCPRトレーニングを提供するなどが挙げられます。
●提携先およびサポート先との理念の整合性
提携先となるJSISH-ITCの理念は先述のとおりです。
ブレイブハートNAGOYAでは提携先のJSISH-ITCの理念のほか、AHAの理念、特にガイドライン2015下で強く打ち出された「実効性」と「現場転移」に力点を置いたコース展開をしています。
ブレイブハートNAGOYA以外でBLSプロバイダーコースを修了された方でも、ブレイブハートNAGOYAのサポートのもとインストラクターへの道を歩むことは可能ですが、私どもがどのような考えのもとにコースを開催し、そしてインストラクターを養成していくかは、一度コースを受講される、または見学されることをお勧めします。
❚ インストラクター資格を得るために
ここまでに記載した要件を満たしたうえで、JSISH-ITCとの提携の承諾を得る必要があります。
まずブレイブハートNAGOYAまでご連絡ください。必要なオリエンテーションを行います。
そのうえで、次のステップが必要です。
❶Instructor Essentials(クラスルーム・パート)修了
BLSプロバイダーコースを指導するための教材の使い方、資機材の管理、指導法の実際などを学ぶクラスルームスタイルのプログラムです。1日で終了する対面講習で、最後に25問4択式の筆記試験があります。
費用は受講人数や会場費等により異なりますが、1人あたり3~5万円程度が標準です。
受講に際しては、別途 BLSインストラクターマニュアル を各自でご準備ください。
❷教育実習+モニター評価合格
後日、実際の講習の場で、受講者に対する実地指導を行っていただきます。
コースのすべてを自身で運営するわけではなく、受講者に対する実技指導等を担当し、インストラクターとして最低限の能力を備え、今後成長発展していく可能性があることを実証いただきます。
このモニター評価は1回で終了することもありますが、ご自身の資質によっては複数回を要する場合もあります。
ここまでのステップを踏むことで正式なAHAのBLSインストラクターとして認定され、AHA公認の BLS Instuructor eCard が日本医療教授システム学会AHA国際トレーニングセンター(JSISH-ITC)から発行されます。
JSISH-ITCではAHA本来のスタイルを踏襲し、独立インストラクターの数を増やして、インストラクター自身の居住地や職域等においてコースを開催することで、質の高い蘇生教育を面で広げることを意図しています。
そのため、
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インストラクター候補生になるために、コース開催の補助に無償で従事するなどはありません。
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インストラクター資格取得の要件に合致すれば、インストラクター養成課程に進むことができます。
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要件に合致し、独立したインストラクターとしての活動を希望する人を支援します。
ただし、独立した救命法トレーニングビジネスを日本国内で展開するという立場となるため、相当の要件を定めております。
❚ コースを独立開催する権限を得るために
インストラクター資格を有しただけでは、まだスタート地点に立ったに過ぎません。
自身の力でコースを開催し、指導責任者として自身の氏名が記載された資格カードを発行できて初めて一人前のAHAインストラクターです。完全にひとりでコース開催・運営を行うことができるスキルを習得すべく、上級インストラクターの立会のもと実地訓練を積み、独り立ちを目指します。
JSISH-ITCでは品質確保のため、ITCからBLSコースディレクター(Course Director:CD)の認定を得た者のみ BLSプロバイダーコースの独立開催ができることとしています。
●映像教材の準備
BLSプロバイダーコースを開催するにあたっては、BLSコースデジタルビデオ(15,510円)を準備する必要があります。ガイドライン2020教材からDVDではなく、専用アプリなどを用いて再生するデジタル映像教材となりました。
また、ハートセイバーCPR AEDコースや同ファーストエイドコースの開催も行う場合には、同コースのインストラクターマニュアル(7,370円)と映像教材(29,920円)も必要です。
●コースディレクターとしてのスキル習得
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コース開催の告知と集客、受講者への案内など
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コース開催の準備(事前/当日)
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コースの進行や解説
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実技指導とスキルチェック(試験)の運用
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資格発行手続き
これら一連のスキルを習得するために、トレーニングセンター・ファカルティ(Training Center Faculty:TCF)と呼ばれるインストラクター養成員の立会サポートのもとコースを開催していきます。
コースディレクター認定に必要なスキルを習得するには、半年間で10回程度コースを開催することが必要であるといわれていますが、当然個人差はあります。所定回数のコース開催で自動的に認定がなされるものではなく、あくまで所定のスキルを習得できたかがポイントです。
コース開催に間隔が空けば空くほどスキル習得は緩やかなものとなってしまうので、例えば2か月に1回といった間隔では、10回でのスキル習得は難しいかもしれません。
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受講者(顧客)は確保できるか?
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少なくとも月に1〜2回程度の頻度でコースを開催できるか?
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開催場所や資機材は確保できるか?
これらの見込みが立たないようであれば、AHAインストラクターへの道を進むことはお勧めできませんが、要件を満たし、インストラクターとして社会の救命率向上のための道を進みたいという方をブレイブハートNAGOYAでは全力でサポートします。
●インストラクター養成に関するご希望やお問い合わせ
問い合わせフォームからメッセージをお送りください。
その際はご自身の所属機関やご身分、インストラクター資格取得を目指す背景などを詳しく記載いただけますと幸いです。